寒冷地において,冬期にトレンチャー式撹拌工法(以降TMMとする)による軟弱地盤のセメント安定処理を行った場合,設計基準強度に達しないことが顕在化した.当研究所では,寒気を遮断し,改良地盤の強度発現を確保することを目的として,改良地盤上に覆土を設けた試験施工を行い,冬期のTMMにおいても設計基準強度を満足することを確認している.しかし,冬期の気温低下に伴って,改良地盤に進行した低温域が強度発現にどの程度影響を及ぼしているのか,明らかとなっていない.[*]そこで,本研究は冬期の北海道において,TMMおよび改良型TMM(通常TMMのセメントスラリーに蒸気を合流し,高温のセメントスラリーにて,早期の強度発現の促進を図る新しい技術,以降ヒートソイル工法とする)の試験施工を実施し,覆土厚や施工法の違いが施工後の改良地盤の経時的な温度変化や強度発現に与える影響を調査した.[*]その結果,低温の外気によって地表面近傍の改良地盤の温度は低下するが,覆土の設置やヒートソイル工法を用いることで改良地盤の温度低下を軽減でき,養生温度を確保できることが確認された.ただし,この温度低下抑制の対策となる覆土厚の設定方法,ヒートソイル工法での蒸気の投入量や改良地盤の品質を満足するのに必要な養生温度については課題が残されている.そこで,より冬期の外気温が低い北海道の東部において,今回と同様な試験施工を行い,凍結指数と強度発現の関係を明らかにする予定である. |