約50 年間供用された床版目地を有するリベット接合を用いた連続非合成鋼I 桁橋を対象として,損傷状況の目視調査,荷重車載荷試験等を行い,床版と鋼桁との合成挙動に着目し,鋼桁のひずみ,変位計測結果と解析結果との比較を行った.また,両者の比較を通してモデル化の影響について考察した.得られた主な結果を以下にまとめる.[*](1) 橋全体の劣化損傷の目視調査結果,材料試験より,床版等の損傷状況及び材料強度特性について確認した.その結果,施工時の打継目部や,床版目地部に関しては,路面からの水の浸入が見られ床版の損傷やその下の塗装劣化,腐食の主因になっていることが確認された.また,鋼材及び床版コンクリートの強度については,現行のJIS 規格値や設計基準強度に対して,鋼材の引張強さが若干小さかったことを除き,十分高い値を示した.(2) 現地載荷試験による桁断面の応力分布,桁の鉛直変位,振動数の計測結果と合成・非合成挙動を想定した解析結果の比較より,床版と鋼桁間に関して,完全な合成挙動ではないものの合成桁に近い挙動を示していることが確認された.(3) 床版をシェル要素とし鋼桁をはり要素とし,床版目地と床版と鋼桁間の相対変位をせん断バネ定数により考慮したFEM 解析により,相対変位を含めて,実測値と解析値を比較した.その結果,床版と鋼桁間の相対変位は,荷重車の載荷・除荷に対して弾性的な挙動を示すものの,スラブアンカーから想定されるせん断バネ定数と比較してずれ剛性は非常に大きく,(2)と同様に合成挙動に近いこと,実務的には目地無しで完全合成と仮定したFEM モデルで概ね挙動を再現できることが確認された.また,合成桁に近い挙動の場合には,解析上,床版目地が全体挙動に与える影響は小さかった. |