| 本研究は，積雪寒冷地において凍害劣化による上面コンクリートの損傷劣化部を除去・補修し，下面にCFRPシート補強を施す補修・補強工法の補強効果に関して輪荷重走行試験を実施して，その補強効果の検討を行った．以下に，本研究により得られた知見を要約して示す．[*]①凍害と疲労損傷したRC 床版について，凍害により劣化したRC 床版上側の損傷部を除去し，ウォータージェットなどにより既設コンクリートと新設コンクリートの付着が確保できるような断面修復による補修工法を用いた場合，剛性は，RC 床版の上面部が健全な状態の剛性まで回復することができる．なお，併せて，下面にCFRP シートを補強することで，さらに剛性が大きくなり，本実験では，初期載荷と同等の剛性が得られた．②RC 床版上面が一体化される断面修復を行い，下面にCFRP シートを接着した工法を用いた場合，CFRP シートに，鉄筋と比べて大きなひずみが発生し，基準供試体に比べて，鉄筋に生じるひずみは減少した．③ＲＣ床版上面が一体化される断面修復を行い，下面にCFRP シートを接着した工法を用いた場合，押抜きせん断破壊によって耐力を失うが，CFRP シートとコンクリートの剥離は生じず，両者は接着したままの状態でコンクリートの押抜きせん断が生じた破壊面から剥離していた．④基準供試体に比べて，下面にCFRP シート補強した供試体は，実験結果から，約94 倍の疲労寿命の延命効果が得られた．また，異形鉄筋を前提とした理論式（松井式）から算出される，基準供試体の破壊時走行回数の理論値に対して，補強供試体の破壊時走行回数の実験値は，約33 倍であった．⑤上面部の補修部位が一体化しているとして，理論式によるせん断耐力と破壊時走行回数算定式およびCFRPシートの効果を配力鉄筋による剥離破壊耐力分を考慮したRC 床版の押抜きせん断耐力算定式からほぼその補強効果を評価できることが確認できた． |
