寒地土木研究所では北海道東部の別海町に乳牛ふん尿を主原料とした大規模な共同利用型バイオガスプラント:別海資源循環試験施設(以下、別海プラントと呼ぶ)を2000年に建設した。「家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律」の施行(1999年)や「地球温暖化対策の推進に関する法律(1998年)」あるいは再生可能エネルギーの利用促進(新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(1997年))といった社会的要望を追い風として、大きな期待感をもって2001年5月からプロジェクト研究での稼働を開始した。2004年度でプロジェクト研究は終了したが、プラントの稼働は2010年の現在においても継続している。稼働状況は決して定常的に順調とは言えない。加えて、北海道全域でのバイオガスプラントの建設・普及も低迷しており、このままではバイオガスプラントは一過性の流行で終息してしまう危険性すら感じる。[*] 筆者は本学会の第2回大会から、別海プラントの稼働状況・課題等の発表を続けてきた。[*]今回、包括的な発表の機会をいただいたので、過年度の発表内容と重複する部分はあるが、別海プラントでの課題と対策を教訓として、北海道におけるバイオガスプラントの普及促進に求められる事柄を実利用者の立場から整理してみた。 |