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発表 英国における田園地域アクセス権確立の影響

作成年度 2010年度
論文名 英国における田園地域アクセス権確立の影響
論文名(和訳)
論文副題
発表会 日本計画行政学会第33回全国大会
誌名(No./号数)
発表年月日 2010/09/11
所属研究室/機関名 著者名(英名)
地域景観ユニット太田 広(OTA Hiroshi)
地域景観ユニット松田 泰明(MATSUDA Yasuaki)
地域景観ユニット高田 尚人(TAKADA Naoto)
抄録
近年、英国のフットパス(footpath)をモデルに、全国各地で遊歩道等を整備、設置することにより、観光振興や地域振興等を図ろうとする活動が盛んになりつつある。例えば、北海道には約70のフットパスがあるとされ、多くの地域で魅力的な地域景観を活かした新しい地域振興ツールとして積極的に推進されている。私有地での通行には様々な制約があるため、公共空間を中心としたルートが多いが、根室フットパスのように酪農地を利用した魅力あるフットパスが地域振興に貢献している事例もある。[*]一方、フットパスのモデルとされる英国では、2000年以降、フットパスの存在根拠となっている通行権(right of way)を拡充した包括的なアクセス権(access right)を規定した法律が成立、2005年までに英国全土で施行されている。特にスコットランドでは、自然地域や田園地域において、レクリエーション利用のため、公衆が私有地に立ち入り権利を幅広く認める制度が確立された。本報告では、スコットランドにおけるアウトドア・レクリエーションへの参加実態に関し、2003年~2013年を実施期間として継続的モニタリングを行う、スコットランド・レクリエーション調査(Scottish Recreation Survey)の年次報告書及び速報値を利用し、アクセス権がウォーキング等レクリエーションや観光に与えた影響について考察する。公開されている2008年までの報告書を整理して、アクセス権を規定したスコットランド土地改革法施行後(2005年2月9日)のレクリエーション活動の変化を整理する。[*]2005年以降、国民のアクセス法制やアクセス規則等への認知度は高くなっており、ウォーキング等アウトドア活動への参加は増える傾向にあるものの、歩行距離、歩行時間は減少し、新たな権利としてアクセス権が明確化された田園地域より市街地等の公園緑地が目的地として選ばれる傾向にある。この傾向に伴い、アウトドア活動に伴う消費総額に大きな変化はないものの、一人当たり消費単価は低下傾向にあることが明らかになった。これらの要因としては、アクセス規則等の制定に伴い、田園地域の利用ルールが明確化、厳格化されたことにより、結果として私有地への立ち入りを避け、公共緑地である身近な公園緑地等へレクリエーションの場を移している可能性も考えられる。
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