北海道では昭和30年代後半から道路整備に伴う山岳トンネルの建設が進んでいるが、経済的状況より社会資本への投資は望めず、今後は効率的かつ経済的なメンテナンス・維持管理が必要になる。そこで計画的な維持管理を行うライフサイクルマネージメント(Life Cycle Management:LCM)や社会資本を資産と見なすストックやアセットマネジメントの検討などが行われているが、トンネル覆工の劣化状態の把握、また劣化過程の予測が重要であるが、これらの実データを用いた研究がなされていない。本研究では、寒冷地トンネルの覆工に対する劣化過程における時間推移の予測を北海道内255カ所で実施された点検データから試みている。[*]結果は以下の通りである。 1) トンネル覆工の劣化度は、建設年代(経過経年)に伴い増加していく傾向を示し、加えて補修・補強による劣化度の補正をすることでトンネル覆工の真の劣化度を算出することができる。 2) 幾何学的ブラウン運動方程式の劣化度は経過年数が増加するにつれて劣化分布の平均 or 中央値が後ろに推移していき、かつ状態の分布幅が大きくなっていることが確認できる。加えて劣化度も分布も対数正規分布になっている。 |