| 積雪寒冷地の一般的な道路づくりでは、斜面の安定に基づく標準勾配で切土後、雪庇や雪崩被害の状況に応じ、雪崩予防柵を設置することが多い。[*]一方、2005除雪・防雪ハンドブック(防雪編)では、道路の切土のり面の雪崩予防対策としては、小段幅を30年確率最大積雪深以上に広くする方法やのり面勾配を30°より緩くする方法も有効としている。[*]本論文では、これら3つの方法を最深部に硬岩層がある切深25mの場合と、全体が土砂で切深15mの場合を想定して、用地・補償費を含めた建設費を比較した。[*]その結果、雪崩予防柵を設置する方法が2つの場合とも一番高額となった。[*]小段幅を広くする方法は雪崩予防柵による方法に比べ23~34%安価となった。この方法は、多少切り込んでも掘削土量があまり大きくならない場合等に有効な方法と考えられる。[*]ののり面勾配を緩くする方法は、雪崩予防柵による方法に比べ8~43%安価となった。この方法は、自然改変面積が大きくなるが、道路の切土のり面を早期に周辺環境と調和させることができる。[*]以上の事から、積雪寒冷地では道路計画時から雪崩予防対策の比較検討を行った方が良いと考えられる。 |