北海道開発局では、農業水利施設のストックマネジメントの一環として、国営完了地区の基幹的水利施設(受益面積100ha以上の施設)を対象に、平成15年度から機能診断を実施している。この機能診断の結果、老朽化や劣化が見られた施設については、施設の長寿命化やライフサイクルコストが低減される保全計画を策定し、必要に応じ保全対策を実施してきている。保全対策の検討にあたっては、施設毎・部位毎の劣化状況に適した補修・補強工法を選定するが、コンクリート開水路については、直接的に気象環境の影響を受ける構造形式であることから、対策工法を選定するうえで、北海道のような積雪寒冷地での適用性が重要となってくる。しかし、コンクリート開水路の補修工法については、これまで北海道内での施工実績は少なく、積雪寒冷地における補修技術として適用性が確立されたものはない。本研究では、積雪寒冷地に適したコンクリート用水路の補修技術を確立するため、劣化要因を把握し、補修工法の適用性および耐久性の検証を行う。研究の1年目である昨年度(平成21年度)は、寒冷地のコンクリート用水路の主な劣化要因や機能診断の課題等について整理を行い、試験的に実施された用水路の補修工法の事例および対策後の経過状況の報告を行った。2年目となる今年度は、コンクリート用水路の劣化メカニズムの検証を踏まえ、現場で実施された用水路補修工法の試験施工後の評価について報告する。 |