本検討では,異なる形態の CFRP 材料を RC 床版の下面補強に用いて輪荷重走行試験によって耐疲労性の検討を行った.以下に,明らかになった事項を要約して示す.[*](1) 本検討で用いた CFRP 材料では,無補強供試体に比べて,約11倍疲労寿命が増加し,補強効果を有する結果となった.(2) 2 種類の異なる形態の CFRP 材料を用いたが,剛性の増大が図られ,床版と補強材との付着がある程度確保されている状態では,両者の曲げ剛性に大きな差異は認められなかった.(3) RC.CFS 床版に比べ走行直角方向の FRP 補強材の引張剛性が高く,より離散的に FRP 補強材を配置した RC.CFR 床版は,荷重の繰り返しにより FRP 補強材とコンクリートの剥離によって,荷重の増加と繰り返し載荷回数の増加にともない若干,たわみが増加する傾向が認められた.(4) 端部付近で輪荷重走行試験を実施した結果,FRP 補強材の配置が比較的連続的であった RC.CFS 床版では,局所的に FRP 補強材とコンクリートの剥離が観察されたが,破壊はコンクリート構造体の破壊であった.一方,RC.CFS 床版と比べて,より離散的 FRP 補強材を配置した RC.CFR 床版では,FRP 補強材とコンクリートとの付着の劣化によって疲労破壊に至り,両者は異なる破壊形態となった.これは,FRP 補強材の引張剛性,接着面積に起因した,FRP 補強材とコンクリート間に発生する付着応力の差異によるものと考えられる. |