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発表 ホタテ貝殻礁の浄化効果の持続性と実用化に向けた検討

作成年度 2011年度
論文名 ホタテ貝殻礁の浄化効果の持続性と実用化に向けた検討
論文名(和訳)
論文副題
発表会 土木学会論文集B3(海洋開発)特集号 Vol.67 No.4
誌名(No./号数)
発表年月日 2011/05/25
所属研究室/機関名 著者名(英名)
水産土木チーム岡本 健太郎(OKAMOTO Kentarou)
水産土木チーム山本 潤(YAMAMOTO Jun)
北海道開発局 稚内開発建設部福田 光男(FUKUDA Mitsuo)
(株)エコニクス林田 健志(HAYASHIDA Kenji)
(株)エコニクス峰 寛明(MINE Hiroaki)
パブリックコンサルタント(株)大橋 正臣(OOHASI Masaomi)
パブリックコンサルタント(株)田畑真一(TABATA Sinnichi)
抄録
有機汚濁の進行した港内に「ホタテ貝殻礁」を設置すると,貝殻の間隙部分に様々な生物が蝟集し,その摂餌行動と食物連鎖、漁業による系外排出を通して浄化効果が得られる.これまで,ホタテ貝殻礁の水質・底質浄化効果について,試験用の小規模な試験礁を用いて約3年間にわたり観測し,その効果の持続性について検討した.さらに,施工性も考慮した実用的な大規模ホタテ貝殻礁を提案し,浄化効果について現地で実証実験を行い浄化効果が期待できたのでそれらの結果を報告する.[*]小規模な試験礁への生物蝟集状況の経年変化について調査し,環形・節足動物の蝟集量から効果の持続性について検証した.大型のホタテ貝殻礁を設置し,蝟集状況の差異を検証した.また、新たに通水孔を設置した実用型ホタテ貝殻礁を製作し,通水孔による蝟集効果を検証した.さらに,蝟集生物について安定同位体比の分析を行い,ホタテ貝殻礁を取り巻く食物連鎖の解明を試みた.これを用いて,ホタテ貝殻礁のサブモデルを追加した港内物質循環を算定し,ホタテ貝殻礁の効果を評価した.試験礁は,設置から3年後で環形・節足動物が1m2換算で各々1、500gの蝟集が確認された.また,長期間にわたり高い浄化能力を持続することが確認された.大型のホタテ貝殻礁では,蝟集量は試験礁と比べ生物量に乏しく浄化率は低い.これは規模を拡大した場合,内部の空間が蝟集生物に有効に利用されていないためと考えられた.通水孔を設けた実用型ホタテ貝殻礁では,通水孔の設置により浄化効果が試験礁と同水準に向上することが確認された.蝟集生物の安定同位体比の分析結果についてδC-Nマップに示した。これにより,貝殻礁ではナマコ,ウニ,魚類を頂点とする3つの食物連鎖を示すことができる.また、摂餌対象物の比率を算出した結果,貝殻礁を起点とする食物連鎖が形成されているものと推察された。ホタテ貝殻礁の物質循環は,負荷量を系外からの流入・沈降,蝟集生物の排泄・自然死亡等による炭素と窒素の算出、消費量は蝟集生物・高次生物の摂餌行動による炭素と窒素の算出により表され,貝殻礁に負荷される炭素の51.9%,窒素の87.7%が貝殻礁内で浄化され,ホタテ貝殻礁の効果を定量的に示すことができた.
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