1. はじめに[*] 道路審議会答申(1999)では、「のり面や植樹帯、中央分離帯を、~中略~ 樹林によって緑化し、"緑のみち"として緑豊かな道路空間を創出していく必要がある」としている。積雪寒冷地において切土のり面の樹林化は、従来積極的には行われてこなかった。このため、過年度までの研究をまとめた前報で、積雪寒冷地の切土のり面を樹林化する際の留意事項と、北海道の地域に応じた中低木25樹種の選定を行い報告した。本報では適用樹種を絞り込み(25種→11種)、切土のり面における地域と現場条件に適した中低木樹種選定方法について述べる。[*]2.北海道の地域に応じた中低木再選定[*]2-1 地域に適した樹種の絞り込み[*] 前報では、市場から調達することを想定し、現場技術者が容易に樹種選定できるよう、北海道の地域に応じた中低木25種を選定した。 しかしながら、現場では25樹種では種類が多すぎて選定にとまどうとの意見が多かったので、樹種の絞り込み作業を再度行い、中木性樹種6種、低木性樹種5種の合計11種まで絞り込んだ。[*]2-2 樹種選定における留意点[*] 現場においての樹種選定の留意点としては、道路の切土のり面ではのり面勾配が1:1.2程度であることが多いので、のり面内に樹高の高い木を導入すると斜面の長期的安定を損なう可能性がある。このため、低木樹種を3~5種類程度選定し、特に雪崩抑制効果を期待したい場合には、小段部や小段拡幅部に中木性の樹種を2~3種類程度選定することが考えられる。[*] なお、現場技術者が樹種選定する際の参考になるように、樹種毎の植物情報、分布情報、写真、樹木の特徴を記載したシートを作成し、当研究所のWebサイトにて公開している。 |