1.はじめに[*]北海道の国道における雪崩の発生および雪崩のおそれによる通行止めはほぼ毎年発生している。雪崩発生による通行止めは、乾雪雪崩によるものが全体の66%と多く、厳冬期である1~2月に発生することが多い1)。一方、雪密度と剪断強度には強い相関があることが知られている。このため乾雪雪崩の起きやすい北海道の峠部において、雪密度と剪断強度(SFI)を計測し、雪密度から積雪の剪断力を推定する関係式を算出できれば、短時間に乾雪雪崩時の積雪の安定度評価ができると考え、観測データを蓄積・解析し、北海道の峠部における雪密度と剪断強度の相関式として得たので報告する。[*]2.研究内容[*]本研究では雪密度と積雪の剪断強度(SFI)を比較した。観測は平成20年度、21年度、22年度にかけて行った。本研究の目的は乾雪雪崩時の積雪の安定度評価なので、観測日前や観測日の気温が0℃前後程度以上に上昇した観測データや、同一測定日の雪面から遠い距離のデータで、降雪後数日以上経過したと認められる雪質の観測データは除いた。[*]3.研究結果および考察[*]本研究で得られた積雪の密度(ρkg/m3)と積雪の剪断強度(σkPa)の関係式 σ=3×10^-5×ρ^1.950 は、本州の積雪により得られたWatanabe(1977)、遠藤(1993)や山野井ら(2002)2)により得られた関係式より下に位置し、カナダのJamiesonら(2001) 3)によって測定された新雪~弱層を含む雪質の関係式にほぼ一致している。これは、カナダと北海道の峠部の気象条件が似ていることが理由と考えられる。 |