本報告は、岩盤中の連続して開口している弱層における壁面上下の凹凸面の形状からせん断強度をシミュレーションした結果を述べたものである。[*]岩盤には、断層や節理のように力学的な不連続面が存在することがあり、壁面の凹凸や幅の形状、充填物の有無、それらの連続性等、さまざまな性状を示す。不連続面の一部は周囲の岩盤と比較し、強度が著しく低いことから総称として弱層と呼ばれる。弱層のせん断強度は、せん断される部分に着目すると、「不連続部の岩盤強度」、「壁面のかみ合い(接触)による強度」、「充填物の強度」のうち、いずれかの組合せで表現できる。壁面のかみ合いによるせん断抵抗と摩擦抵抗が弱層のせん断強度を決定していると考えられる。これら抵抗力の生じる箇所を特定できれば、弱層のせん断強度を予測することが可能であると予想される。そこで本報告では、弱層の壁面上下の凹凸面の形状からせん断強度をシミュレーションした。[*]その結果、その結果、算出されたせん断強度は一面せん断試験とほぼ同等の値を示し、かみ合わせが悪い自然岩盤にも適用可能であることが分かった。ただし、粘土など充填物を含む場合にはさらに充填物のせん断強度も別途考慮する必要があり、今後は様々な岩種や充填物、凹凸等の弱層へ強度予測式を適用し、検証することが必要である。 |