バイオガスプラントはメタン発酵の原料が供給されなければ作動しない。また、メタン発酵によりバイオガスと消化液が発生するが、これらが有効活用されねばバイオガスプラントシステムはうまく稼働しない。バイオガスプラントの維持管理費用も何らかの収入により捻出されなければならない。[*] ドイツではバイオガスプラントが普及しているが、日本とは様々な面でシステムが異なる。北海道のような積雪寒冷地のバイオガスプラントシステムでは、ドイツでは必要のない様々な防寒対策が必要となる。[*] ドイツと日本ではバイオガスプラントに関する政策も異なる。ドイツではバイオガスプラントで発電した電気を一般の購入電力料金のおよそ3倍の値段で電力会社が購入することが義務付けられており、ドイツのバイオガスプラントシステムではできるだけバイオガス発生効率の高い原料を受け入れ、発電した電気を電力会社に売却することにより、利潤を得ることが可能である。日本の場合は、現状ではバイオガス発電により発生した電気は、一般の購入電力料金のおよそ半値でしか販売できず、違った方法でバイオガスプラントの維持管理費を捻出しなければならない。[*] また、酪農地帯のバイオガスプラントにおける受け入れ糞尿もドイツと日本で異なっており、ドイツではバイオガスプラントで取り扱いやすい原料である液状糞尿が主原料となるが、日本では固液分離をしなければならない固形糞尿が主流であり、固液分離施設や堆肥化施設への投資をしなければならない。[*] 日本の酪農家の敷地内の道路は地耐力が足りず、大型の糞尿搬送車の走行が可能なように補修をする必要がある場合がある。北海道のような積雪寒冷地では糞尿の凍結対策も必要である。[*] 日本のバイオガスプラントの場合、維持管理費の大半を家畜糞尿以外の有機性廃棄物の処理料金によって賄う必要があり、ドイツと違い、汚泥のようなバイオガス発生効率の悪い原料であっても、処理料金を得るために受け入れることが重要である。[*] 様々な有機性廃棄物を受け入れると毎日投入される発酵原料の量や品質が不規則となり、メタン発酵が不安定となる。これを防止するためには、家畜糞尿以外の有機性廃棄物の一時貯留槽を設け、そこに各種有機性廃棄物を投入することにより、有機性廃棄物の量や品質を安定化でき、バイオガスの安定生産につながる。[*] バイオガスプラントシステムを安定して運営するためには消化液を有効活用することが重要である。現在では牧草地、畑地、水田での消化液の利用の取り組みがなされている。[*] 消化液の圃場施用は圃場への炭素貯留をもたらし、二酸化炭素の削減につながる。[*] 2012年7月1日には再生可能エネルギー買取法が施行される。バイオガスプラントの売電料金ができるだけ高く設定されることを願いたい。 |