本報告は,建設工事における地下水環境の影響評価へ役立てることを目的として,国土地盤情報検索サイト"KuniJiban" (www.kunijiban.pwri.go.jp)で公開されているボーリング交換用データ等の地盤情報に含まれる地下水情報について,地下水影響評価への適用可能性と課題を述べたものである.[*]KuniJibanでは、これまでに約9万4千件のボーリング柱状図と土質試験結果一覧等の地盤情報を国民に無償で提供してきた。このうち、75、503件がTRABISから引き出されたものである.このうちボーリング柱状図は国土交通省の地質土質調査成果品電子納品要領(案)のボーリング交換用データ(DTD2.10)に変換し提供されている.このボーリング交換用データには地下水に関する情報には透水試験,孔内水位,地下水検層,地下水検層試験詳細データ,地下水検層試験判定結果の5項目にわたり、地盤における地下水の透水係数や地下水位,地下水位が流動する位置を把握することができる.そこで、本報告では、ボーリング交換用データ等の地盤情報に含まれる地下水情報について,地下水影響評価への適用可能性と課題について分析した。[*]その結果,地盤沈下や渇水には地下水位と地盤物性とを関連づけることで評価可能であることを示した.しかし,一方,水質変化や冷水については情報が不足していることを示した.今後は,継続的かつ効率的に信頼性の高い地盤情報を提供し拡充するために,地下水小目を網羅するデータベース構築や,既存の地盤情報の継続的な更新,地方自治体等の外部機関との連携を必要とする. |