今後は高度成長期に整備されたコンクリート構造物の維持管理及び更新にかかる費用の増加が予想されることか[*]ら、コンクリート構造物の長寿命化を効率的に図り、ライフサイクルコストの縮減に務めることが社会的に求め[*]られる。コンクリート構造物の耐久性設計および維持管理を適切に行うには、耐久性能の合理的な評価および劣[*]化予測の方法の整備が不可欠である。北海道の道路コンクリート構造物は、厳しい積雪寒冷環境下に位置してい[*]る。道路管理者は冬期間、路面に凍結防止剤を散布し、安全な交通機能の確保に努めている。現在散布されてい[*]る凍結防止剤の多くは塩化物系である。このため、海岸部と同様に、内陸部のコンクリート構造物においても凍[*]結融解の複合作用による凍害の進展が懸念される。現在の凍害に対するコンクリートの耐久性の評価体系は、例[*]えばひび割れのみといった単一の凍害形態の進行を前提としている。しかし、実際のコンクリート構造物では2種[*]類以上の凍害形態(例えば、スケーリングとひび割れ)が同時に発生している。単一の凍害形態のみの評価体系[*]では耐久性能を適切に評価できないことが懸念されるため、実際のコンクリート構造物における凍害の発生形態[*]の実態に即したコンクリートの耐久性評価技術を確立する必要がある。本研究では評価技術の確立を最終目標に[*]位置づけ、その一環として、スケーリングとひび割れが複合化した凍害の発生の実態を把握するため、山間部の[*]道路橋下部コンクリートを対象に目視によるスケーリングの調査と超音波による凍害ひび割れの調査を行った。[*]また、今回の調査で得た結果の範囲で、凍害の程度と環境(凍結融解の厳しさ、凍結防止剤の散布頻度)の関係[*]について考察を行った。 |