積雪寒冷地域の道路を所管する道路管理者は,冬期の交通機能確保・維持のため除排雪等の道路管理を恒常的に実施してきたが,昨今の厳しい財政事情により道路の維持管理費が削減され,管理基準等が見直されている.他方,道路を良好な状態に維持することは道路管理者の責務であるため,厳しい財政状況下で冬期の維持管理をより効率的に行うことが求められている.このような中,冬期の路面管理の判断の基本となる路面状態の評価は,主に目視による担当者の経験と主観に基づいて行われているのが現状1)であるため,凍結防止剤等の過剰散布や散布の見落としが懸念される2).また,時々刻々と変化する気象・路面状態に対し,重点管理区間の選定や管理作業が適切に行われているかは定かではない.以上のような状況下において冬期道路の安全性・円滑性を引き続き確保・維持していくためには,冬期道路の状態,維持管理による効果等を定量的に把握・評価することが不可欠である.[*] 著者らは,路線の冬期路面状態を定量的に把握可能な路面すべり抵抗値測定装置を用いて冬期道路における路面状態を調査し,路面管理の実施による効果の説明性向上に資する研究に取り組んでいる.本報では,実道における冬期路面のすべり抵抗モニタリング調査から得た計測データと気象・道路構造・維持管理等を踏まえた冬期路面状態の出現傾向,要注意箇所・条件等に関するこれまでの分析結果を紹介するとともに今後の展望について述べる. |