近年、公共工事に関わる建設費のコスト縮減は重大な課題であり、特に新技術によるコスト縮減には大きな期待が寄せられている。その背景のもと、補強土壁工法は経済性、施工性に有利な点が多く、着実に実績を伸ばしている。補強土壁工法の中でも多数アンカー式補強土壁工法やテールアルメ工法等のコンクリート製壁面材を使用する工法は、垂直法面を形成できるため必要最低限の用地で施工が可能である。また技能職人を必要としない単純施工が可能であること、さらにコンクリート製壁面材の薄型化により従来品に比較してコスト縮減に成功している点など、メリットが大きい。そのため、従来までの仮設工に限定するという考え方を改め、永久構造物への適用を確認するため、各地で試験工事が行われている。今回、一般国道5号七飯町上藤城改良工事において、多数アンカー式補強土壁工法により現場計測を行った。計測内容として、土圧計による鉛直土圧や、補強材(ダイバー)の張力、および壁面材の水平鉛直変位などである。また当現場では、北海道での施工事例が少ない薄型の壁面材を使用した。そこで本稿は、当工事個所の動態計測結果とともに、一般国道278号南芽部町八木改良工事で施工を行った従来型壁面材との比較結果を報告する。 |