建築計画時に考慮しなければならない様々な項目は、官庁施設の総合耐震計画基準及び同解説や建築設備計画基準・同解説等、手法が確立され利用されている。各条件に合わせ、目的とする建築物の性能を満足させるべき計画をし、設計、積算、発注、工事監理、完成となるが、完成後の評価は利用者が利用した後にわかってくるものである。便利なものは当然のようにあまり評価はされず、利用者の使い勝手の悪いものが設計者に返ってくることが多い。設計時の使用者との打ち合わせ、聞き取りにより計画されたものが何故利用されるとクレームとしてあがってくるのだろうか、決まった予算の中で何が重要なのか何を優先として計画するか、実行されたかが、利用者には伝わっていないのが現状ではないだろうか。北海道における独身寮の建替えは、平成5年度より始まり本局を除き各開発建設部の独身寮は2棟目、3棟目が建設され一通り整備されたところである。しかし、まだ昭和40年代に建設された古い寮も多く実存し、改修を重ねているものの設備的に耐用年数を超えている寮もみられる。旧入居者から、狭隘や設備機能低下について、不満の声と新規入寮希望者の増加を合わせて考慮すると、これからも建替えが行われていくことだろう。フレキシビリティを重点に置き、利用者が変わっても対応可能な建築物もあるが、寮となると生活する人々は様々であり、全員の意見を満足させることは不可能といってよいだろう。最近、寮と言う建築物は、1ルームマンションのようである。これは、個人のプライバシーが確保されることに、重点が置かれていることを意味している。営繕事業として、マクロ的に様々(計画プロジェクト、設計施工 VE、事業評価、コスト縮減、グリーン設計など)な、企画計画について検討され実行されている現在、今回の考察は、非常にミクロ的で全体に占める割合は小さいものかもしれないが、設計の根本にあり、利用者の評価が計画設計側に、一番最初にフィードバックされる設備機器のうち、暖房器具と給湯器の検証をすることにした。本考察は、釧路開発建設部で設計施工した独身寮を一例にし、計画時における暖房及び給湯器の選定結果に基づき計画と実状のランニングコスト比較を報告し、今後の独身寮計画における、設計計画時の一提案をするものである。 |