白鳥大橋は、国内初の3径間2ヒンジの箱桁吊橋である。補剛桁にはフェアリングを有する鋼床版箱桁を採用している。本橋の耐風設計上の特徴として固有周期が長く、フラッター照査風速内では補剛桁には渦励振は発生しないという特徴がある。可とう性に富む長大吊橋における耐風安定性は、振動特性と減衰性能に支配され重要な課題となっている。本橋の設計においても風洞試験を実施し、耐風安定性の検討を行い補剛桁形状を決定している。一般に長大吊橋の設計や風洞試験における振動特性は、構造諸元及び材料諸元を考慮した数値解析モデルや相似則に従った弾性模型によって評価され、減衰特性は、耐風設計基準に定められた対数減衰率が用いられている。減衰性能は吊橋に限らず定量化されていないのが現状であり、「耐風設計基準」においても既往の実験結果から基準値が設定されている。また、構造特性に着目した場合、その構造物の持つ固有値を確認することは、維持管理上構造物の健全度を評価する場合の有効な手段と考えられる。この固有値とは、各振動モードにおける振動数や構造減衰率を示すが、何かの要因で構造系に変化が生じた場合これらの固有値にも変化が生じることになる。本稿では実橋においての固有振動数及び振動モードの確認と対数減衰率の把握を目的に行った強制振動試験及び常時微動計測の方法と結果の概要報告を行う。 |