ダムには多くの機能が求められているが、そのなかでも近年は特に環境・景観を整備したレクリエーションの場としての機能が重要視されている。これにはダムを観光資源として地域振興を図るという地元自治体と住民の強い要望がある。ところが桂沢湖においては、観光にとってもっとも重要な時期である夏期に水位が下がり、且つ湖水が濁るという状態となる。このような状態は、湖岸の露出とともに景観上好ましくなく、今後水質予測及び濁水対策について検討する必要があると思われる。桂沢湖の濁質の発生過程については過去に研究がなされているが、その軽減対策については十分に議論されていない。対策としては副ダムの設置、浚渫、湖岸の緑化等が挙げられるが、これら単独では十分な効果をあげられるものではない。特に、桂沢湖の濁質は浮遊する性質を持っているため、洪水時の濁水を選択取水により放流することが濁度軽減の有効的な手段になると考えられている。そこで本研究は、放流中における取水塔まわりの水理量を測定し、濁質を含む流れの概況を明らかにすることで取水設備の設計及び水質予測の基礎資料とするものである。また、あわせて河川流入部、湖心の水理観測も行い、濁質の発生過程についての既往の研究を補足するデータが得られたのでここに報告する。 |