官庁施設は、国民の豊かで安全な暮らしを支える共有の資産として、また行政サービスの提供の場であるとともに、地方公共団体のまちづくり計画等を踏まえ、都市の適切な位置に計画的に整備することが重要である。一方、公共事業の実施にあたっては、事業の必要性、効率性及び効果等について客観的な評価を行い、国民に対して明確に説明していくことが強く求められている。昨今、少子・高齢化、高度情報化等の急激な進展、更には公共公益施設の郊外立地、大型商業施設の郊外展開による中心市街地の衰退や空洞化などの厳しい状況の中、官公庁施設をはじめとした公共施設に対して、賑わいの創出、街づくりへの寄与や環境への配慮など、地域における都市活動の核としての機能が強く求められており、官庁施設整備がまちづくりへ与える影響は大変大きなものがある。このような状況のなか、官庁施設整備においては、公務の能率化や利便性の向上と併せて街づくりへの貢献が非常に期待されており、施設の特性を十分に把握し、地方公共団体、民間施設等と緊密に連携することによりその整備効果を最大限発揮することが求められている。それには施設の持つポテンシャルを発揮することが可能な適切な立地と規模を有した敷地の選定(想定)が重要であり、官庁施設の立地として適切な敷地であるか否かの評価が不可欠となる。本調査研究においては、昨年度、作成した立地評価表を基に、各地方整備局に2回、試行していただき、意見を収集し改良を加え、計画検討段階における官庁施設立地評価検討法の提案を行うものである。なお、官庁施設は、合同庁舎をはじめとした行政施設、試験研究施設、検査指導施設及び研究・教育施設等多岐にわたり、各々の施設の特性に応じた立地評価が必要であるが、今回はまちづくりに影響が大きい合同庁舎及び窓口官署を中心とした一般庁舎を対象とする。 |