農業用水路等に用いる水路コンクリートは、比較的小容積の構造物のわりに表面積が大きく、水との接触が多い。灌漑期間には水路の大部分が水面下におかれ、流水等による表面摩耗・侵食をうける。また、落水期間は直接外気にさらされ、とくに積雪寒冷地では劣化現象の要因となる大きな温度変化や凍結融解作用をうけてしまう。さらに、水路は原地盤よりも低標高部に造成されることも多く、水路背面、目地部等は水路背後周辺からの浸透水の影響をうけやすい。このように、北海道の水路コンクリートの大半は過酷な環境下で供用されているが、表層部に劣化がみられる段階で、適切な表面補修工を施すことにより耐久性の維持、向上を図ることが可能と考えられる。一方、寒冷地における新設コンクリートの凍害対策の一つとして表面に被覆材を塗覆装し、コンクリートに侵入する水を遮断・抑制する方法が検討されているが、実際に供用された経年水路コンクリートに対する検討例は少ない。今回、1972年から1984年の間に後志支庁管内で施工されたL型コンクリートブロック用水路より、施工年の異なるコンクリートを採取した。本報では、経年コンクリートの凍結融解作用に対する耐久性といくつかの塗覆装処理を施した供試体の凍結融解抵抗性の向上について室内試験結果から考察した。 |