函館港港町ふ頭の-14m岸壁は平成14年春の供用開始を控え、港湾施設用地の埋立工事が実施されている。この埋立土砂は細流分を多く含む粘性土であり、さらに海底面から-31m間は軟弱な粘性土で正規圧密状態であることから埋立による増加荷重により圧密沈下が懸念された。この圧密期間は岸壁供用後まで継続されることから施設利用に際し支障をきたすことが予想されたため、圧密を促進させるための載荷盛土、圧密時間を短縮させるためのサンドドレーン(SD)工法により圧密沈下対策工を実施している。SD工法に用いる砂杭は鉛直排水の効果を長期間にわたって発揮する必要があるため、透水性が良く、粘性土による目詰まりを起こさない粒度分布のものでなければならないとされている。近年、第2港湾建設局石巻港において、カキ殻を有効利用したSCP工法が実施されており、カキ殻の試験結果として、内部摩擦角は砂と同程度かそれより大きく、透水性は砂より大きいと報告されている。カキ殻とホタテ殻の違いはあるものの材質的には同じであり、同様の評価と推測されることから、函館港港町ふ頭-14m岸壁背後の港湾施設用地の地盤改良工事における、SD工法の中詰材料としてホタテ貝殻を有効利用するため、その適用性の確認を試みたので報告する。 |