現在、釧路港では第四埠頭岸壁建設に伴う航路および泊地浚渫により大量の浚渫土砂が発生している。現段階では、浚渫土砂を第四埠頭の埋立材として再利用しているが、以降は一部を運搬・仮置きあるいは陸上処分せざるを得ない。今後の港湾整備計画においても、更なる浚渫土砂が発生することが想定され、現地では膨大な浚渫土砂にどの様に対処して行くかが懸念されている。釧路港港内の底質は、含水比が高く流動性に富んだ軟泥土であるため、固化処理等の改良を行うことではじめて土砂としての再利用、仮置き・運搬が可能となる。これまでの軟泥土の固化改良工法としては、セメントあるいはセメント固化剤を使用する方法が考えられるが、固化させるまでのストックヤードを必要とすることやセメントを大量に使用するため費用が高くなることが問題点として指摘されている。また、昨今の環境保全意識の高まりに伴い、浚渫土砂の仮置き・陸上処分に関わる内陸部の用地取得も困難になりつつある。仮置き・陸上処分可能な用地が制限されることや遠隔地となった場合の運搬コストを考慮すると、今後は、仮置き・陸上処分する土砂の体積を可能な限り減少させることが要求される。このような背景のもと当事務所では、①含水比を下げ土砂体積を減少させる、②再利用のための改良費用を低減させる、ことを目的に軟泥土改良工法の研究を行うこととした。本研究で対象としている凝集剤を用いた改良工法は、軟泥の含水比低減を促し体積を減少させることが可能と考えられている。体積の減量化が達成されれば、運搬・改良に関わる施工費用を抑えられることが期待できる。今回の報告は、種々の凝集剤を用いることによる軟泥土の含水比低減効果(体積の減少)及び改良土の物理的特性(土の強度)等について室内試験を元に考察を加えたものである。 |