昭和62年10月に完成したピンネシリレーダ雨雪量計は、定量観測範囲を石狩川全流域に持ち、広範囲の降雨雪状況を面的に、瞬時に、しかも連続約(5分毎)に捕えることができ、石狩川流域の水防、除雪活動、交通規制等の判断、またその事前対策こ絶大な力を発揮すると考えられる。また雨雪域の移動や発達・減衰の予測にも利用できるためその合理的な運用が期待されている。昭和63年度の試験運用期間を経て平成元年度は各関係機関への情報提供を行い、実質的な運用段階に入っている。その間、レーダ雨雪量計観測の精度向上、運用方針について各種検討がなされてきた。レーダの観測精度を高めるためには、①レーダ方程式に含まれる各係数の最適化(レーダ定数B,β、補正係数、減衰係数等)、②地形的な特性から生じるレーダ反射波のノイズ、あるいは遮蔽の処理(G.C.,S.C.,ブラインド領域等)、③気象学的な変動に対する補正(G.C.,S.C.の変動、降雪の移流、ブライトバンド対策)、④運用方針から定まるもの(レーダ捜査法、仰角、降雨雪観測切り換え時期等)について検討する必要がある。61、62年度の検討は先の報告で記した通り一応の結果は得られた。63年度はさらに降雨雪観測用B.βの検討、グランドクラッタ(G.C.)、シークラッタ(S.C.)の変動特性、キャリブレーション手法の概略検討、ブライトバンド出現特性、各種対応策の妥当性について検討を行った。ここではその中から降雨雪観測用B,βの検討とキャリブレーション手法の概略検討について報告する。 |