近年、公共事業のコスト縮減が強く求められる中、当局においても様々なコスト縮減方策を実施しているが、現在までのコスト縮減対策は実施段階での対応が中心であり、その縮減余地も限界に来ている。また、一般的なコスト縮減効果は業務のより上流段階である調査・計画段階の方が大きいと考えられることから、最近は計画段階からのコスト縮減対策が重要となっており、高規格道路の構造規格の見直し等による工事・時間コストの縮減、環境・景観等の社会コストや外部コストの抑制など、様々な観点での総合的なコスト縮減対策の検討・導入も始められている。しかしながら、これらコスト縮減の実現に向けては、効率的・効果的な事業執行が伴うことが必須となるが、業務の分業化も進む中、その成果の大小は担当者の意識や能力等に係わる部分もあり、現状の事業執行上の課題も多い。したがって、アウトカム指標による行政評価といった成果重視の行政運営への転換が重視されている中で、公共事業の執行面(ビジネスプロセス) の改善による効果的で組織的な事業執行の推進が急務となっており、現在、国土交通省でも公共事業へのプロジェクトマネジメント手法の導入について、平成16年度の導入を目指して本手法の標準化や業務プロセスの検討等が進められている。本報文では、現状の事業執行上の課題や他の公共事業実施機関の事業執行事例などから、実行可能なマネジメント手法の整備・導入に向けた検討について報告する |