国営かんがい排水事業神居地区は旭川市の西南に位置し、石狩川水系美瑛川左岸、同水系伊野川周辺の水田420ha、畑640haを対象に、水源の確保と水利施設の統廃合により、安定した水田の用水補給と畑地かんがいの導入を図り、農業の近代化と生産性の向上をはかり農業経営の安定と所得の拡大を目的とする。事業概要としては、オイチャヌンベ川上流に重力式コンクリートダム(神居ダム)を建設し、ダムから受益地までは、トンネル(神居導水路)、パイプライン(神居・共栄幹線用水路)によりかんがい用水を導水する計画である。この事業の主軸をなす神居ダムは、堤高40.4m、堤長143.2m堤体積65千m3と比較的小規模なダムであり、基礎地盤は、左岸が輝緑凝塊岩,右岸が黒色片岩と確質な岩質のため重力式ダムの設計となっている。ダムサイトの気候は内陸性であるため、気温の年較差が大きく、打設したコンクリートに発生する温度応力によるひび割れを防止するため、適切な温度規制計画に基づいた施工管理を行う必要がある。本稿は、本体コンクリート打設に先立ち神居ダムのコンクリート温度規制計画の策定に当っての検討内容、方法等の基礎的事項と平成元年度打設実績を報告するものである。 |