北海道の一部の港において、近年、防波堤などの外郭施設の整備にともない港内静穏度が向上する一方で冬期間に港奥部が結氷する現象が見られる。また、オホーツク海においては流氷の来襲があり、港内も結氷している。港内結氷や流氷は寒冷地に位置する港特有の問題であり、これらが経済に与える影響は少なくはない。これまで港内結氷については気温と海水の保有熱量と結氷状況の大まかな特性については解明されてきているが、塩分量や風速などを考慮した詳しい結氷のメカニズムまでわかっていない。一方、港内結氷対策として当研究室が検討を進めているエアバブル工法については室内実験によリ2次元的なエアバブル流の特性を把握してきたが、実用化に向けての次のステップとして実際の結氷下における平面的な海氷制御範囲を把握する必要がある。そこで、これらの課題を検討すべく、昭和63年度に大津漁港において結氷特性調査とエアバブル現地実証実験を行った。本研究では大津漁港の港内結氷特性について風速や港外波浪状況などの気象、海象データを用いて検討した。また、エアバブル実験ではエアバブル流によって海氷が制御できる影響範囲について検討し、さらにエアバブル流発生前後の水質特性について検討したのでここに報告するものである。 |