杭基礎は、地盤条件の悪い構造物に用いられるが、最近では構造物の大型化や複雑化も手伝って地盤条件だけでなく、立地条件や構造条件なども悪くなっている。こうした状況下で、特に深い軟弱地盤では長尺杭、あるいは最近ニーズが高まりつつある摩擦杭の採用が検討されている。杭の鉛直支持力は、先端支持力と周面摩擦力の和で求められるが、周面摩擦力は推定法の信頼牲などから過少評価されがちである。このことは、長尺杭や摩擦杭にとって不経済な設計になることが考えられる。杭の支持力を推定する最も信頼性が高い方法としては、実杭による鉛直載荷試験が挙げられる。しかし、この方法は、多大な費用と時間がかかることから実施されるケースが少ない。また、実施されても工期や経済性から試験杭や反力杭に本杭を用いての施工段階における杭の支持力確認が目的になるケースが多い。杭の支持力は、調査段階で確認し、合理的な設計を行うことが必要であり、そのためには鉛直載荷試験と比較し得る程度の推定精度を持つ簡易な調査法の開発が望まれる。本研究では、杭の設計において過少評価されがちな周面摩擦力の、簡易でかつ推定精度の向上を図った測定機による適切な推定法を確立することを目的としている。本報文では、最近の土質調査法として急速に発展してきている電気式コーンによる三成分コーン貫人試験を用いて検討したのでその結果について報告する。 |