近年、北海道東部太平洋岸ではプランクトンの異常濃密域の発生があり、漁業への影響も懸念されるようになってきた。この現象のメカニズムは不明であるが、海域の富栄養化や海域の水塊構造そのものが関与しているものと考えられる。今後、地域開発による量的・質的変化も予想されるため、沿岸域の環境の実態解明、水系・水域の環境変動、浅海域の富栄養化等についての基礎的知見の充実、環境汚染の予測・防止手法の確立が急務となっている。本研究は、北海道東部太平洋岸の十勝沿岸を対象水域として、沿岸海域、沿岸湖沼及び陸域の自然環境の実態を総合的に把握解明し、その上で地域開発に伴う沿岸環境変化の定量化手法の確立を図るとともに、寒冷水域の環境評価指針について検討を行い、寒冷地圏域浅海域における沿岸環境保全対策に資するものである。平成元年度は、河川水拡散と沿岸海域の流況、水質、底質についての現地調査を行うとともに、生物環境については既往資料による検討を行った。また、沿岸域の土地利用、河川からの流出負荷量、沿岸湖沼の環境についても既往資料による検討を行った。本報では、これらのうち流況特性に関する結果の概要を報告する。なお、本報は環境庁国立機関公害防止等試験研究費による研究成果の一部である。 |