積雪寒冷地における冬期の自動車交通確保に多大な貢献を果たしてきたスパイクタイヤは、冬道を克服する利器である反面、舗装路面の磨耗を促し粉塵問題を引き起こした。このような状況を背景に国の「スパイクタイヤ紛じんの発生の防止に関する法律」が成立し平成2年6月27日から施行の運びとなっている。また、これより以前に北海道においては「北海道脱スパイクタイヤ推進条例」が、政令指定都市である札幌市においては「札幌の街を車粉から守るためスパイクタイヤの使用を規制する条例」がそれぞれスパイクタイヤの使用期間を規制する条例として実施されている。一方、これらの条例には罰則規定がないことから強制力を持たすため北海道公安委員会が交通反則金制度を導入してスパイクタイヤの使用規制を実質的に行なっている。これらの規制に加え、スパイクタイヤの製造販売についても総理府公害等調整委員会の調停によりスパイクタイヤの製造は中止され、販売についても平成3年3月31日限りで中止されることが決まっており、脱スパイクが大きく進行されることが予想される。しかしながら、冬期における自動車交通はスパイクタイヤに大きく依存してきたことから、現時点でスパイクタイヤより圧雪、氷結路面での制動、登坂性能が劣るスタッドレスタイヤヘの急激な移行は交通安全、交通処理の面からその影響が心配されるところである。本調査では道路管理者として来るべきスタッドレス時代へ向けて、安全で快適な冬期自動車交通確保の方途を考えるため、スタッドレスタイヤの普及に伴う影響を把握して今後の道路整備における資料とする。 |