これまで積雪寒冷地では、冬期間の円滑・安全な交通のためにスパイクタイヤが使用されてきた。スパイクタイヤは、その簡便性・効果から急速に普及し、1985年頃には北海道で90%以上の車が装着するに至った。しかし、スパイクタイヤに起因する舗装の摩耗被害及び粉塵による環境への影響が問題となり、その対策として耐摩耗舗装混合物の研究、スパイクピンの改良、スタッドレスタイヤの開発等が進められるとともに、一部地方自治体においてスパイクタイヤの期間規制が行われてきた。しかし、1988年に総理府公害等調整委員会の調停により、長野県の弁護士グループ等と大手タイヤメーカー7社が、1990年末でのスパイクタイヤ製造中止および1991年3月末での販売中止に合意し、また、1990年6月に「スパイクタイヤ粉塵の発生防止に関する法律」が成立したことにより、スパイクタイヤ廃止に向けての早急な対策が必要となった。こうした状況のなか、路面自体に凍結抑制作用を付与する方法が検討されている。現在、アスファルト混合物にゴム粒子を配合し、交通荷重による舗装体のたわみによって路面への雪氷の付着を防止する方法と、アスファルト混合物に塩化系添加材を配合し、塩化物による凍結温度の降下等をもたらす方法の2種類があり、その中のいくつかの混合物は、既に道内の国道で試験施工されており、その性状・効果の把握が急がれている。本文は、既に試験施工されている凍結抑制舗装混合物3種について、試験施工の経験もふまえ室内試験を行い、その結果を報告するものである。 |