北海道では、昭和40年代から冬期道路交通の安全性・定時性の確保のためスパイクタイヤが用いられてきた。ところが近年になって、そのスパイクタイヤの使用が原因となって粉じん公害が発生し、大きな社会間題となったことから、国の調停により大手タイヤメーカーは、平成3年3月までにスパイクタイヤの製造販売を中止することを決定した。また、平成2年6月に「スパイクタイヤ粉じんの発生の防止に関する法律」が制定され脱スパイクタイヤが推進されつつある。そこで北海道の道路管理者は、これまでのスパイクタイヤ使用を想定した路面管理から、スパイクピンのないタイヤを使用した場合を想定した路面管理への移行が求められている。スタッドレスタイヤとスパイクタイヤを比較すると、圧雪路面上でこの2種類のタイヤは、ほぼ同程度の性能を持つが、氷盤路面上での性能に関してはスタッドレスタイヤが約20%~約40%(試験走行路における試験データより)劣っていると報告されており、道路上の氷盤を融解させることや道路の凍結防止がさらに重要な課題となると思われる。現在、氷盤の融解及び凍結防止を行う方法として、ロードヒーティング、消雪パイプ等の道路消・融雪施設を設ける方法や、道路に融雪剤・凍結防止剤を散布する方法などが考えられる。この報告は、従来からの試験結果を踏まえ、一般に市販されている雪氷路面用薬剤について冬期路面管理に用いる際の最適な散布皇(散布基準)を提案することを目的に取りまとめたものである。 |