「水を治めるものは国をおさめる」と言われるように、河川は国土の重要な構成要素であり、その治水及び利水機能は人間の生活や生産活動の発展に大きく寄与してきた。さらに近年は河川の存在そのもの、すなわち、河川環境に対する要請が増大かつ多様化してきている。しかしながら、良い河川環境とはどのようなものを指すのであろうか。-般的にはきれいな水が流れており、草木が生い茂り、多くの魚が泳いでいる情景が思い浮かべられる。本研究ではこのような背景を基に、河川の持つ機能としての利水、治水を満足させつつ要請されている環境機能をより実現していく為の方法を考えるものである。今回の研究の1つの柱として、ハード的な面として河川そのもの、つまり河床形状、流れの状況の把握がある。もう1つの柱として、ソフト的な面として魚類を主体とした河川の生態系に関する調査がある。魚類の物理的生息条件(水深、流速等)が明確になり、河岸の植生、植生を生活の場とする昆虫、小動物の関係を把握することができ、かつ河川形状の変化を的確に予測することができるならば、河川環境を保全するために有為な方法を確立することができ、河川環境の保全がはかれると考えられる。 |