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 北海道らしい護岸・根固工法の検討-生態系、景観等の環境に加えて機能、経済、施工を考慮した総合的河川環境をめざして-

作成年度 1990年度
論文名 北海道らしい護岸・根固工法の検討-生態系、景観等の環境に加えて機能、経済、施工を考慮した総合的河川環境をめざして-
論文名(和訳)
論文副題 平成2年度(指-3)
発表会 平成2年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 平成2年度技術研究発表会
発表年月日 1991/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
抄録
我が国は、温帯モンスーン地帯に位置し、融雪期、梅雨期、低気圧、台風などによる集中豪雨や高潮・風波浪など厳しい気象条件に加え、環太平洋地震・火山地帯にあって、地形が急峻で地質的にも脆弱であり、国土面積に比して長大な海岸線を有し、諸外国と比較して洪水、土石流、高潮等による自然災害に対して脆弱な国土条件下にある。一方、洪水時の河川水位より低い河川氾濫区域内の沖積平野には人口の約50%、資産の約75%と高度な社会構造が集中しており、極めて自然災害の受けやすい、厳しい気象や地理的条件下にある。我が国の今日的発展は、常習災害国から安全で豊かな社会を支える国土保全事業の進捗に伴うことは論をまたないところであるが、この保全事業に重要で不可欠な施設構造として護岸・根固工法が挙げられる。護岸・根固は、古くはオランダ技師ファン・ドールン(明冶6年)等により、木工沈床、粗朶沈床、竹篭などの自然素材によって行われて来たが、北海道においては明治42年に岡崎文吉技師によって考案されたコンクリート単床ブロックが開発された。昭和35年度に「治山治水緊急措置法」、「治水会計特別会計法」が制定されて以来、治水事業の進展が見られ護岸・根固工事が盛んに行われるようになり以来、コンクリートブロックの技術力が進み、今日では河川の護岸・堀固構造と言ったら多種多様のプレキャストコンクリートブロックをイメージするまでに至った。北海道開発局河川工事課としては、昭和49年に「護岸根国工設計指針」、昭和55年には「護岸法覆工設計指針」を策定して、数多くの工事に適応しながら技術の向上に努めてきたところである。近年、国民は単なる量的な豊かさの追及から質的な豊かさ、すなわちうるおいやゆとりを求める方向に変化しつつあり、とりわけ水辺空間には水と緑の貴重なオープンスペースとして、豊かな自然、美しい景観、歴史や文化および良好な生物環境に対して関心が高まってきている。もともと、自然河川にはこれらの自然機能が備わっていることに鑑み、建設省河川局は「多自然型川づくり」に積極的に取り組むことになった。本題を指定課題としてとりあげた目的は、このような社会的潮流や、これまでに多くの工事の実施で得た経験を踏まえ、国土保全と地域社会生活のさらなる安全と生物の良好な成育環境、美しい自然景観などの保全あるいは創出する「多自然型川づくり」にあり、変化する社会構造の対応など総合的に検討し、先に策定された「護岸根囲工設計指針」および「護岸法覆工設計指針」の再検討を含め合理的な設計、施工に対応するマニュアルを作成することにある。本研究の推進方針としては、①建設省河川局の「多自然型川づくり」を目指す、②建設省が昭和63年度から実施している「護岸・根固工に関する検討会議」等を活用する、③安全性、水生生物、景観、美観等について学識経験者および地域の意見が反映されるようにする、④これまでに実施した護岸・根固工について評価し、既に策定されている「護岸根固工設計指針」および「護岸法覆エ設計指針」を検討する、⑤モデル工事を実施して種々の検証を計る、⑥「河川環境管理基本計画」および「地域計画」等を配意し地域との調和を図る、⑦水辺の国勢調査、既存文献、実施事例などの活用を図る、⑧その他本テーマは永久的に継続されるものであるが、本研究会としては平成4年度をもってその成果をとりまとめ、以降の飛躍への足掛かりを図るものとする。
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