平成2年の渇水は、利根川水系、吉野川水系をはじめ、ほぼ全国で発生した。北海道においても石狩川上流域において、給水制限には至らなかったものの農業用水で取水制限を実施した。渇水の原因は主として降雨の不足があげられるが、現在のように水利用が高度に発達した社会では、流水の管理も重要であり将来における水需要の予測や、それに対応した水資源開発の促進と共に、河川管理者と利水者が一体となった渇水調整ルールなどの低水管理体制の確立が急がれる。石狩川における渇水の発生は全国の主要河川に比べるとその頻度は少なく、最近では昭和51年、昭和59年に発生しているが、幸いにして大きな被害には至っていない。しかし、大規模な渇水が生じればそれに伴う河川流況の悪化は流域の農業用水、工業用水、水道用水等の利水者に対し大きな彪響をもたらす。また、河川に生息する動植物への影響や水質の悪化、景観の悪化も予想される。石狩川上流域は、北海道第2の都市旭川市を有し、道内有数の水田地帯であるため、かんがい期における利水量も多く、一度渇水となると生活及び生産に多大な影響を与える。そこで、常日頃より河川からの取水状況やダムの放流量、流入量、河川の流況等を把握し渇水の発生を未然に防ぐと共に、万一発生した場合においてもその被害を最小限にとどめなければならない。本報告では、昭和51年、昭和59年及び平成2年夏期の3回にわたる石狩川上流で発生した渇水について資料を整理し、その発生要因である気象、水象状況、河川の取水状況と流況の関係を考察するものである。 |