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 十勝平野における地下水保全について(第2報)-十勝平野における地下水の現状と一考察-

作成年度 1990年度
論文名 十勝平野における地下水保全について(第2報)-十勝平野における地下水の現状と一考察-
論文名(和訳)
論文副題 平成2年度(河-7)
発表会 平成2年度技術研究発表会
誌名(No./号数) 平成2年度技術研究発表会
発表年月日 1991/02/01
所属研究室/機関名 著者名(英名)
角田真一
石田享平
松本博美
抄録
地表水の不足を補う水資源としての側面が重視され開発が進められてきた地下水は、古来人々の日常生活に不可欠なものとして利用されてきた。当初は湧水の露頭に着目した生活用水としての利用に限られたものであったが、水質が良く水温も安定していることから、鑿井技術の向上に伴い次第に工業用水として深層被圧地下水の利用が増大していった。しかし環境構成要素としての一面が軽視され、適切な保全利用が無いまま手軽な水資源として過剰揚水が成されたことや、地下水に与える影響が解明されないまま投棄された有機塩素系化合物(トリクロロエチレン等)に代表される産業廃棄物の問題等が、全国各地において井戸水枯、地盤沈下、塩水侵入、水質汚染、酸欠、生態系破壊など多くの地下水障害を発生させている。地下水は目に見えない存在ではあるが、国土を保全する重要な構成要素である為、河川水と同様に水循環の一部として国民共有の資産として管理・保全を図っていく必要がある。また地下水の流速は極めて遅い為、一度地下水障害が発生するとその回復は極めて困難であるが、循環している以上は涵養域と流出域が存在する訳であり、適切な管理基に、揚水量を涵養量以下に抑えるなら永続的水源として有効に利用できるはずである。北海道東部に位置する十勝平野は、西方に日高山脈、北方に大雪・然別の火山群、そして北東から南東にかけては白糠・豊頃丘陵が取り巻き、幾重もの階段状に刻まれた台地地形で構成された盆地形状をなす面積3,600k㎡の広大な平野である。十勝平野は、幹線流路延長156㎞、全国6位の流域面積9,010k㎡を持つ網状河川の十勝川を背後にひかえていることからも、全国1位の関東平野の13,300k㎡に次ぐ4,460k㎡の広大な地下水域を有し、地質的に見ても一般に砂礫質の帯水層を幾枚も介在していることから、良質な地下水資源には比較的恵まれているとは言えるが、近年、本流域においても地下水障害の兆しが見え始めていることから、地下水利用に関する管理基準を設定し、保全を図っていく必要がある。
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