近年、琵琶湖の南湖や霞ヶ浦など、都市部近郊に位置する多くの湖沼においては、湖水の富栄養化に伴う様々な水質障害の問題が生じて来ている。その多くはアオコや淡水赤潮さらには異臭を発するフォルミディウムの発生など植物プランクトンの異常増殖がもたらすものであり、一般に青潮と呼ばれる現象の発生報告は希である。青潮とは水域の底層部に形成された無酸素水塊が、表層に上昇することにより引き起こされる現象であり、その弊害は赤潮と同様に、発生した水域全体を短時間で貧酸素状態にし、その水域に生息する生物を死滅せしめることにあり、とりわけ漁業関係者には甚大な被害をもたらすこととなる。青潮発生の報告は東京湾などの内湾域で多く認められるが、前述したように、湖沼における発生は希である。しかし、陸水面に発生した場合、その閉鎖性ゆえに生物に与える影響は大であるといわざるを得ない。本調査は、陸水面において希な青潮現象が頻繁に発生している網走支庁管内の網走湖を対象として、青潮発生機構の鮮明とその水質障害の克服の検討を目的として現地調査・数値シミュレーションを中心に3年間に渡り行ったものであり、本稿はその調査概要と結果について報告するものである。 |