現況の河川堤防は、過去の長い治水工事のなかで現地発生土を主体に築造されてきたことから築堤材料や施工法などは各地域の特性から多種・多様となっている。しかし、近年においては河川周辺の開発により、土地利用が高度化されつつあることから全国的に堤防の質的向上を目指し防災構造物としてのより高い安全性が求められるようになってきた。これに基づき昭和63年3月に建設省河川局治水課より、「河川土工マニュアル」(第1次案)がまとめられた。この「マニュアル」は全国統一で河川土工を実施する際の基本的方針と、標準的な設計・施工法を示していることから北海道における地域の特異性(地盤、盛土材料、気象条件など)を考慮していない。このため、北海道の堤防土工の特色等を考慮しながら実情に見合った、締固めの設計・施工方法の確立が必要となったことから2ヵ年にわたり、現況堤防調査および築堤試験盛土調査を実施してきており、それを基に第1報と第2報で締固め度の現状などを報告している。本報告は、既に実施している現況堤防調査、築堤試験盛土調査および今回実施した盛土材料と施工状況を把握するための実態調査結果を基に最終的な整理を行い「マニュアル」に対する意見をとりまとめながら築堤の締国め基準並びに築堤管理規準(案)をこの第3報の中で報告する。 |