北海道における大規模な河床波調査は、昭和56年8月の既往最大洪水時に当時の土木試験所によって最初に実施された。 その後、天塩川(S60、61、62)と石狩川(S63、Hl)、尻別川(S61)で実施され続けて早くも十年を経ようとしている。その観測方法は、漁船に取り付けた音響測深機にはじまり橋上から簡便な魚群探知器を舟型の浮体に取り付けて自然流下させるものから、最近は波浪に強い十字浮体に取り付けたものへと改良されてきた。そのため、大出水時においても安全確実な調査が可能になり、洪水非定常流における河床波の動向が解明され始めてきた。今回調査を行った石狩河口橋下流域は蛇行の強い河道部分であるため、湾曲外岸の河床深掘れ浸食と河岸渦、内岸の剥離渦と河床堆積(スクロールバー)等の河川工学的な検討の必要性が強く要望されている箇所である。しかし、この様な箇所での洪水時のこれまでの観測は種々の問題から流心部のみの代表水域に限られてきた。特に洪水中の河床調査は大量の流木等による障害や河岸の不安定な流況の危険性から実施されずに現在に至っているが、今回はそれらを考慮してホパークラフトによる観測の安全性を確認しながら実施した。まず今回は湾曲外岸の調査を実施し、さらに水位上昇期及びピーク時の航空写真を使用し写真の画像解析を行い、深掘れ調査による成果と対比することにより、調査結果の概要を述べるものであり、深掘れ調査と航空写真の画像解析の同時調査の有効性の一例を示そうとするものである。 |