火山砂防基本計画を策定する場合、その火山の火山活動履歴や周辺地域の特性を十分把握したうえで、火山災害対策を検討し、基本計画に反映することが重要である。樽前山(標高1,024m)は、支笏カルデラの南部に位置して山頂部に溶岩円頂丘の火口があり、標高500m以上の山体は急斜面でスコリヤ、軽石が散在する裸地である。標高500m以下では、風不死岳方面を除き、軽石流堆積物からなる緩斜面が広がり、エゾマツ、トドマツなどが植林されている。その周辺は道央自動車道、千歳空港、苫小牧港、JR線など北海道の主要幹線を有する重要な地区となっている。また樽前山は、記録にある噴火として、1667年の大噴火を初め70~80年間隔で、大きな噴火を起こしており、最近では1909年に噴火を最後に大きな噴火を起こしていない。しかし、最近の火山活動として1978年の噴火や1988年の火山性微動があり極めて大噴火の危険性が高いため、その火山特性が反映された基本計画の策定が急務となっている。本報告では、樽前山火山砂防基本計画の策定にあたり検討を進めている砂防施設によって対応できる計画規模・対象現象の設定及び泥流対策等に関する基本的な考え方について報告する。 |