石狩川流域の水田では、①用水の昇温を図ること、②低温時に深水によりイネを保護すること、など府県にくらぺて水温・気温を意識した特微的な水管理がなされている。これまでの圃場整備の進捗と現在の4割強の転作状態が、水管理に与える影響として次の3点があげられる。その第1点として、用排分離により一筆ごとに高度な水管理が可能となったため、用水系の末端である水田内において効果的な水温上昇が行われるようになったことがあげられる。例えば、水源水温が相対的に低い地域では夜~早朝の間断取水が定着している。第2点は、冷害回避のための深水潅漑も、圃場整備に伴い実施されるようになり、低温時には大きな水需要が生じていることである。間断取水や深水潅漑は、安定した高収量のための必要条件と考えられるが、一方で水需要の時間的・時期的ピークをつくっている。第3点は、農地の汎用化による消費水量の変化である。一般に、圃場整備で排水性が改善されることにより、還元田の用水量は増大する傾向が強いとされる。府県の実測値でも還元田での用水量が増大している事例が多いが、増加の度合いはさまざまである。本論では、石狩川流域での観測例を用いて、①間断取水の実施状況、②還元田における減水深の変化について報告する。 |