活魚の人気は、このところますます高まり活魚取扱い量は全国的に増加している。活魚の流通が増加している要因として次の点が考えられる。①養殖技術の進歩、②活魚輸送技術の進歩、③消費者のグルメ志向、④産地、消費地の蓄養技術の向上と施設の充実、⑤活魚流通関連業者の増加活魚は鮮魚に比べると高価であり、生産者である漁業者にとっても魅力のある分野である。ただし、ヒラメのように2倍以上になるものもあれば、ハマチのように1割程度しか高くならないものもあり、時期、魚種により違いがある。北海道においても活魚の取扱い量は、年々増加しており、昭和62年には4,281トン、49億5千万円に達している。また北海道127漁協のうち活魚を取扱っているのは、昭和62年で73漁協であり、活魚によせる漁協の意欲はますます高まっている。今後、活魚の生産と流通の拠点である漁港においては、活魚の安定的な供給と価格の安定を図るため、魚を生きたまま短期間蓄養し適切な出荷調整をおこなう必要が生じてきている。このため漁港法の一部改正(昭和63年4月1日施行)により、漁港法第3条の"漁獲物の処理、保護および加工施設"の中に蓄養施設が新たに追加された。この蓄養施設の具体的な内容は、活魚出荷のための水槽・揚水施設、上屋等であり、漁港整備事業ではこれらの施設の用地造成が実施できる。また、海上の蓄養施設用地として漁港内に蓄養水面を設けることができる。北海道開発局では、平成2年度に雄冬、抜海の2漁港で、全国に先駆けて蓄養水面の盤備に着工した。今回の整備対象となるのは、イケス、かご等の魚を蓄養するための施設そのものではなく、それらを設置するための水面の整備である。本報告では、調査・計画から工事実施に至るまでの取組経過の概要について述ペることとする。 |