開発土木研究所港湾研究室では、北海道の一部の港において問題となっている港内結氷の対策工法としてエアバブル工法の研究を昭和63年度より行なっている。エアバブル工法による港内結氷対策は以下に示す効果によって行なわれると考えられる。① 表面水平流による海氷排除、② 海水面での動揺による結氷遅延、③ 鉛直混合による結氷遅延北海道内の港にエアバブル工法を適用する場合、①の表面水平流による海水排除の効果が最も期待される。エアバブルによる海氷排除能力を算定するためには、気泡発生に伴う表面水平流の流況を把握することが必要となる。エアバブルの流況を規定する要因としては、空気量、水深、気泡発生管形状(小孔の中心間隔、小孔の直径、小孔の配列)の他、風や潮流などの環境力の影響が考えられる。これらの要因から効率良く表面水平流を発生させる条件を把握することを目的として、これまで室内実験では、流れの発生効率の良い気泡発生管形状などの検討を行ない、大津漁港における現地実験では、空気量や風向きと海氷排除能力についての検討を行なってきている。今回の報告は、現地に適用する場合に、より効率的な表面水平流を発生させるための方策として岸壁に対する気泡発生管の設置位置および岸壁上部に張り出しを付けたときの効果に関して、平成元年度、および平成2年度に実施した室内実験の結果をとりまとめたものである。 |