積雪寒冷地における冬期生活の質的向上は、永遠のテーマであると言っても過言ではない。冬期の生活を夏期のものにどれだけ近づけられるか。従来までは、1年の半分を占める冬を、ただひたすら過ぎゆくのをじっと待っていた感があるが、21世紀に向けては、「快適なまちづくり」を積極的におし進めていく必要がある。積雪寒冷に起因する交通障害、都市機能の低下は、生活環境整備に対する水準向上の要求、科学技術等の進歩や四季を通じて生き生きと活動できる環境づくりと相い反する問題であるからである。日本海に面し、積丹半島の西の入口に位置する岩内町は、積雪が市街地で1.5mを越える年もある多雪地帯であり、この厳しい自然条件を克服することが地域づくりを推進するにあたり、大きな課第題の一つとなっている。このような状況の中で、雪害のない快適な冬の生活現場づくりを目指して北海道開発庁では、「ふゆトピア」事業を昭和60年度より計画し、推進している。岩内流雪溝においては、北海道開発局・北海道および岩内町が一体となり、流雪溝を面的に整備し、平成2年度より供用を開始している。水源は、必要な取水量を確保できる河川が無いことから海水とし、河川水利用の流雪溝に比べ水量に制限がなく、投雪時間にも制約が少なくなるメリットを有している。本報告は、この日本で最初の海水を利用した道路流雪溝である岩内流雪溝の計画・設計上の検討事項および、供用開始後の状況を報告するものである。 |