岩盤は岩石と割れ目の集合体とも定義されるように、岩盤には必ず割れ目が存在し、岩盤としての強度や透水性の多くは、その中に存在する割れ目により左右されている。しかし、岩盤内部に存在する割れ目を調査するのは極めて難しく、従来あまり有効な方法はなかった。このことは、我々が岩盤急斜面の安定性を検討したり、岩盤地帯の裂か水を探査する場合の大きな障害になっていた。しかしながら、まだ完成された技術とはいえないが、近年において、電磁法を用いて岩盤の割れ目を調査する有効な方法が開発されつつある。これらの方法により岩盤中の割れ目がどの程度明らかにできるか、あるいはどのようにしたら割れ目を調査できるかを究明していくことが必要であり、重要である。筆者らは北海道内のいくつかの個所でVLF法による電磁波探査とボアホールレーダー法による電磁波探査により岩盤の割れ目あるいは断層、破砕帯の調査を実施した。VLF法による電磁波探査は岩盤地帯の裂か水からなる地下水の開発を目的として、幅1メートル程度から数10メートルといった規模の断層、破砕帯や割れ目発達ゾーンの調査を目的として実施した。これに対し、ボアホールレーダー法による電磁波探査は、岩盤の急崖斜面の安定性を検討することを目的として、幅数センチメートルから数10センチメートルの割れ目を検出することを目的として実施した。当報文ではこれらの調査で明らかに出来たことがらとそれらに対するいくつかの考察を述べる。 |