北海道において道路交通の担う役割は重要である。人口の密集している地域では鉄道等の大量交通機関が充分交通需要に対応することができる。しかし、北海道のように人口が少なく地域が広域に分散している土地ではなかなか鉄道等の大量交通機関が充分交通需要に対応できないものと考えられる。したがって、北海道においては道路に頼らざるを得ない状況が生まれ得る。道路に対する需要は多種多様である。経済活動の増大、国民所得の向上、余暇時間の拡大、豊かさへの欲求、女性の社会進出、社会経済活動の24時間化等の社会経済活動の変化に伴い、道路に期待するサービスはより多様になっており、また、その需要は確実に大きくなっている。現在、道路の整備率の基本的考え方は交通量主義である。したがって、道路が地域の基本的な社会資本として重要であっても交通量が少なければ道路整備の優先度は低いとされる。本州と比較して交通量の少ない北海道では地域の振興や民政の安定のため道路盤備が必要であってもその必要性を充分説明できない場合が少なくない。これらのことを踏まえ、本研究では、北海道の道路の整備効果を交通量主義ではない側面かち指標を設定して評価し、将来の道路整備水準の設定を行うことを目的に、開発土木研究所道路部3研究室(交通研究室、防災雪氷研究室、維持管理研究室)のプロジェクト研究として進めている。研究の柱として地域間交流、防災水準、維持管理水準、交通事故に着目し、当研究所の従来の研究テーマも踏まえつつ研究を行っている。 |