十勝川水系は全国的にも知られた急流河川であり、その断面は川幅水深比が大きく、皿型の形状をなす。そのため流れは複列・網状となり澪筋が絶えず変化するといった特徴がある。このような十勝川上流及び札内川では、流水制御、水衝部対策として、古くからコンクリートブロックによる水制工が採用されてきた。水制工は局所的な流水の挙動を積極的に制御する工作物で、粗度効果と水はね効果の2つの効果を持つ。これまで、水制工の効果的な配置、構造諸元の決定については、それぞれの箇所での流水の特性に合わせなされてきた。この水制工の持つ機能を充分発揮させ、河道計画や水衝部対策を講じるためにも、水制工の効果をより的確にとらえ汎用性を持たせることは非常に重要である。これまでに上記の目的を達成するため、水制工の現地観測、大型模型実験、数値シュミレーション等が行われてきた。特に既設の水制箇所では次のような調査が行われてきている。1)既設水制の構造諸元を統計的に整理し、その主な特徴(水制長、水制高、設置間隔等)を抽出し、それぞれの要素と、水制効果を比較した。2)空中写真を用い、いくつかのケースにおいて水制工まわりの流れの様子、土砂の堆積、侵食状況を把握した。3)水制工データより、主成分分析法により水制工の効果を考察した。このようなことから本報では、現地における水制工の効果について、十勝川上流の美蔓水制において、昭和54年からの変化を検討し、水制工効果を検証するものである。 |