| 防波堤の中でも重力式防波堤は最も一般的な構造形式であり、施工実績も多く、道内でも広く用いられている。その設計にあたっては従来より滑動、転倒、地盤の支持力に対して安定性の検討を行い、必要となる断面の諸元を試行錯誤により決定している。また、偏心傾斜荷重に対する支持力を算定する場合には荷重分散法、片山・内田法、三建法等を併用して検討していた。しかし、ビショップ法による円形すべり解析が提案され、その方法によって偏心傾斜荷重に対する支持力の検討を行うようになってからは、防波堤の滑動に対する安定性だけではなく、支持力の安定性によって最適な防波堤断面が決定されることが多くなってきている。最近、設計においてもパソコンの普及によって省力化が図られ、滑動、転倒、端し圧等の安定性については簡単に計算できるが、ビショップ法による円形すべり解析は電算機によって行われており、基礎捨石の厚さ、港内側の捨石肩幅、堤体幅等によって支持力の安全率が異なるため、最適な断面が決定されるまで繰り返し計算されており、そのためのデータ作成、修正等に時間を費やすことが多くなっている。本報告では重力式防波堤の設計に際して行うビショップ法による円形すべり解析を用いて偏心傾斜荷重に対する支持力の計算を行い、設計条件、堤体諸元との関連性について検討を行ったのでここに報告するものである。 |
